学内のイベント,イブニングレクチャーが産科のレクチャーだったので出てきました。
で,学長の,①新生児死亡率に関する好成績に反して乳児死亡率の結果がよくないのはどう思うか? ②そんな小さい子(超未熟児)を助けちゃうことが,脳性麻痺などの増加につながってるんじゃないのか との,少しポイントのズレた質問に触発されて,少し調べてみた。
①に関して,宮崎の新生児死亡率に関しては,全国最低か?,2位か?というセンで,われわれも気にはしてるところ。で,18年の厚生省の速報を見てみたら,1000出産あたり0.9件で,3位か… こういう数値は,1例2例で結構変わるから,1位でなかったことは残念ではあるけれども,上位の成果をあげ続けていることがスゴイのだ(愛媛の0.5という数字は,驚異的!! だけど…)。乳児死亡率についての質問は,守備範囲外だから少し無茶な話。超未熟児を無理して助けたりするから,それが乳児死亡率に繋がっているんじゃないのか!との主旨。 で,厚生省の統計から,各県の,新生児死亡率と乳児死亡率の相関係数を計算してみた。で,r=.63 と,正の相関。つまり,新生児死亡率が低いから乳児死亡率が高くなるどころか,全国的に見れば,新生児死亡率の低い県ほど乳児死亡率も低いのだ。ちなみに,宮崎の乳児死亡率は,2.4で13位。そう酷い状況ではないよ! 学長,いつの統計をもとに話したんだろう?
②に関して調べてみたら,脳性マヒと出生体重に関する最近の統計資料はない。だから,極小の子どもを助けたから,それが脳性麻痺につながるという証拠はない。なお,1989年には,出生体重が小さいほど,脳性マヒ発生のリスクが高いデータが示されている(竹下,1989)。しかし,その後の,新生児死亡率の全国的な激減と,同時に進行した治療技術の進歩によって,ずいぶんと変わっているはず。実際,低酸素状態を心拍モニタから見出す技術がこの場で説明されたばかり…(学長さん寝てたけど…) ,障害の発生を防ぐための薬物治療の話も聞いている。この質問は,未熟児を助けることによって脳性マヒが増えるという,現在通用しない古い知見から引き出されたその場での思い付きっぽい質問だったんだな。
毎週,リサーチカンファレンスに顔を出してるから,話の筋はほとんど聞いた話。でも,ガンガン研究して,新しい治療技術を生み出していく姿勢,そして,まず,人材を育てるという姿勢(その時,ハードがなくても,人材がいればハードはあとからついてくる,逆に,ハードだけ作っても,人材がいなければ屁の役にも立たない!)は,何度聞いても感動する!リアルなエビデンス付きだからね!
よい成果をあげるチームは,人材育成を重視する。優秀な人材が育っているからこそ,チームとしての成果があげられる。そうすれば,ハードはあとからついてくる。ウチの学部長や構想検委員長に聞かせてやりたいお話だ!